A 2 補助金は自由独立の気概を奪う――
自由とは、独立自存であること。
それ自身において存すること、と『仏教語大辞典』にありますが、
農林業にしても、福祉にしても過度の補助金政策は、
人間の自助自立の独立心を萎えさせ、人間を駄目にします。
詳しくは『東海道行脚・洗心自新録』
――補助金政策は人間を駄目にする――をご覧ください)。
補助金をもらうと、当然のことですが、
国―県―市町村―森林組合という
統制農政の中に組み込まれて、
自由独立の森林経営ができなくなります。
前述、「山の荒廃<愛がなければ
どんな豊富なり知識も十分でない>でもお話ししましたが、
行政指導の施業計画に従うと
写真①②③のような山づくりになります。
この現実を、林野庁の官僚諸兄に話すと、
林野行政に欠陥が多いことを認めぬ人は絶無に近く、
これを改めようと努力している官僚も少数ではありません。
また、山の請負業者も現今の治山事業が根本治療ではなく、
対処療法だということも十分承知していますが、
仕事の無い山村での会社経営の生死が、
社員とその家族の生活がかかっている。
現場で働いている作業員も家族を抱えて生きて行くことに精一杯です。
このような状況の中で、国から補助金をもらえば、
現今の林野政策に異を唱えることはできなくなります。
山の荒廃と山村集落共同体の
崩壊の現実を目の前にして、
一時は国の力をかり、
国からの補助金をもらうことも考えましたが、
結局は、経済的に苦しくとも、
仏法者としての信念を貫くことを決意しました。
そして、仏法の智慧にかなった、
多種多様な動植物が共存共栄できる、
生態系豊かな水源の森をつくる―――
その当然の帰結として、
国の力をかりず、国からの補助金はもらわないという道を選択いたしました。
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